システム構成<後編>
前回に引き続き,システム設計のお話です.
今回も文字ばかりになりますが...
3.信頼性設計
信頼性のあるシステムを設計するための考え方で,以下のようなものがあります.
(a)フェールセーフ (fail safe)
システムの一部に故障が生じたときには,できるだけ安全な状態を確保してシステムを停止させることです.
(b)フェールソフト (fail soft)
システムの一部に障害が生じたとき,その問題のあるシステムを切り離すなどして,全体の稼働は止めることなく残りの部分的なシステムで運転を続けることです.
なので故障が起きることを前提にシステムを組む必要があって,ある部分システムが故障したらそれを停止させたり切り離すことができるように,他の箇所に被害が及ばないような設計をする必要があります.
(c)フォールトトレラント (fault tolerant)
fault tolerantとは「障害に耐性」があるという意味で,信頼性設計に用いられる手法全般のことを言いますが,一般的にはもう少し狭い意味をさすようです.
システムの一部が故障しても,予備系のシステムに切り替えるなどして運転を引き続き行うことをフォールトトレラントということが多いらしい.
(d)フォールトアボイダンス (fault avoidance)
avoidance:回避
できるだけ故障が起きにくいようにシステムを設計します.
信頼性の高い部品を使ったり,構成をシンプルにしたり,十分にテストを通したりするなどの実現方法があります.
(e)フールプルーフ (fool proof)
システムの利用に関して不慣れなユーザに配慮したシステム設計のことです.
具体的には誤った使い方をしたときに,周囲に危険が及ばない設計,機器が破損しない設計,取り返しのつかない故障に繋がらない設計などのように組むことがあります.
もっというと,そもそも誤った使い方ができなかったり誤った使い方をしようとするとシステムが停止するような設計もあるみたいです.
4.マルチプロセッサ
一つのコンピュータに複数のプロセッサを搭載させることです.
命令などを複数のプロセッサで並列して処理できるのでシステム全体の処理能力が上がります.
マルチプロセッサではプロセッサ間で処理結果などを共有する必要がありますが,その共有の仕方の違いで密結合と疎結合の二種類に分類されます.
(a)密結合プロセッサ
1つのOSが複数のプロセッサを制御し,プロセッサ間で主記憶を共有します.
主記憶を共有するので,排他制御(長くなるので別記事で)と呼ばれる技術を実装する必要があります.
排他制御ではプロセッサを増やしすぎると逆に性能が落ちるという性質があるので,とりあえず増やしとけばええやろというわけにもいかないです.
(b)疎結合プロセッサ
各プロセッサはそれぞれ主記憶とOSを持ちます.
プロセッサ間を通信インタフェースなどで繋ぎ,全体を一つのシステムとして動かすことを疎結合といいます.
以前紹介したクラスタリングはこの疎結合マルチプロセッサに分類されます.
システム構成は終わりです.
次からはデータベース!
参考:アイテックIT人材教育研究部(2020)「2021応用情報・高度共通 午前試験対策書」